1.距離による応答通信(ACK)遅延
通信は距離に比例して遅くなります。(回線遅延と呼びます)一般的な通信(TCP) は、確実にデータが届くことを保証するために、パケットごとに応答通信が発生し、待ち時間が発生します。この待ち時間が長くなるとスループットが低下してしまいます。 回線帯域には余裕があるのに通信が遅いと感じることがあるのは、これが原因です。たとえば東京-大阪間の距離による遅延は「15ms」、東京-シンガポールは「100ms」です。この値からTCP通信の論理的な性能(最大スループット)を導き出すと、 東京-大阪間が[34Mbps]東京-シンガポール間が[5.1Mbps]となります。100Mbpsの回線を利用している場合でも、有効に活用されていませんね。
2.パケットロス
データを相手に届ける際、色々な経路を介して届くことが一般的です。その時、パケットが損失してしまうことがあります。パケット損失が発生すると、そのパケとを再送することとなり、 転送効率が落ちます。日本やシンガポールのように通信インフラが整っている地域ではパケットロス率は低いですが、中国や東南アジア諸国のパケット損失率は大変高くなります。
1.キャッシュ型
キャッシュ型は、一度使ったファイルの情報をWAN高速化装置内のメモリーに記憶します。頻繁に使うファイルであれば大幅な高速化が期待できます。 ファイル内容の変更もバイトキャッシュという技術を用いて、バイト単位で差分を検出して、差分のみを送るなど効率化が図れます。しかし、サイズの大きなデータ(CADデータやアーカイブデータ)をキャッシュメモリーに記憶すると、多くのキャッシュメモリーが必要になりますので費用が高騰する恐れがあります。また、TV会議やシンクライアントなど「キャッシュ出来ないデータ」には効果がありません。
通信自体を早くするというよりは、いかに通信を発生させないか?という製品です。
2.プロトコル・アクセラレーション型
プロトコル・アクセラレーション型は、通信そのものを高速化しようとする製品です。利用用途の幅が広く、 ファイルの共有やTV会議システム、シンクライアントなどでも効果を出したい場合にお勧めです。また、高速化のために独自プロトコル(通信)やファイヤーウォールの設定を変更する必要がある製品もあります。 この場合、ほかの通信機器などの設定変更も必要となるためIT管理者との相談が必要となります。